山荘の樹々たち

くぬぎ(櫟又は椚)

山荘のシンボルツリーとなっています。当地ではくぬぎの木が乱立していて、陽の光を求めて上に上にと伸びていき、樹高が高くなっています。
冬の暖かい日に落ち葉を布団替わりにして、仰向けに寝て空を見上げると、地上ではそんなに風が吹いていないのに、天頂近辺では枝が大きくたわみ、今にも折れそうな揺れ方をして、異様な感覚に陥ります。
それは見応えがあります。
くぬぎは椎茸栽培の榾木(ほだぎ)になったり、小屋ではストーブの薪材として重宝しています。
秋には、くぬぎの落ち葉を使って、腐葉土を作ってみようかと、思案しています。落ち葉に水分を与えるために、コンフリーを育生中。


えごの木


若葉が芽吹き、細い細い枝先まで葉が茂ると、かすかな風さえも敏感に反応し、今さわやかな風が吹いていますよと告げてくれます。
5月の中旬になると、可憐な白い花が下向きに沢山咲いてくれます。
多くの植物の和名は成る程なと、納得する名前が多いい中で、果実を口に入れると舌を刺激して、エゴイと感じるからといって、えごの木とはいかが?
その点、英名は素晴らしいです。スノーベル(snow bell)と言い、釣り鐘状の白い花を雪のように、咲かせるからです。
5弁の花びらは散らさずに、咲いていた形のままで、ぐるぐると回りながら落下していきます。秋には2㎝程の卵型の薄緑色の実をつけます。
四季を通じて楽しましてくれる、小屋番、一押しの木です。


くろもじ(黒文字)


くろもじはクスノキ科の落葉低木で、名前の通り黒い文字のような模様が濃い緑色の樹皮に付着することに由来しています。
葉や折った枝からは楠のような芳香性のあるとてもいい香りがします。
くろもじの枝は古くから楊枝として加工され、茶道の席や和菓子を食べる道具として使われています。
若葉はお湯に浸して2~3分もすると、簡単に和製ハーブティーが飲めます。
枝は一週間位乾燥させて1㎝位に短く切り分け、5g位をティーバックに入れて、10分煮沸するとフレッシュな香りが部屋中に広がり、お茶として十分に楽しめます。


こしあぶら(濾油)


こしあぶらの由来はこの木の樹液を漉して、金属のさび止めなどに塗料油として使われていた事から漉し油と言われ出したそうです。
春先に伸びる独特の香りを持つ新芽は、タラの芽と同じように食用として珍重されているようだが、個人的な見解だが小屋番は大の苦手若葉は素揚げにするとうまいらしい。
葉は5枚の小葉からなり、長さは15㎝前後で、秋には黄色から白銀色に変化し、小屋の周辺では一番の鮮烈な紅葉だ。
落葉も他の木と違い5枚の葉がそのまま落下するので、ヘリコプターを連想させます。


やまざくら(山桜)


一応、山に咲いているのでやまざくらと勝手に称しているだけですが、図鑑に便宜的に山地に生息する野生のさくらを総称してやまざくらという。
普通さくらは枝を横に伸ばして花を咲かせますが、当地では乱立する櫟と共存していきますので、上に上に枝を伸ばして花を咲かせます。
それと葉と花が同時に咲きますのでなかなか見るのはむつかしいんですが、風が吹いて花びらが散り始めて、おや、お前さん今年も忘れずに咲いてくれたんだねと、あとから感謝しています。


かしわ〈柏)


子供のころ、端午の節句にかしわの新葉で餅を包み、蒸した柏餅を食べた記憶があります。
春になると由布岳の麓の草原に火が放たれ、恒例の野焼きです。
その草原にまばらにかしわが生えていて、炎に包まれますが、燃えることなく平然と立っています。その訳は幹がコルク質になっていて、耐火力が強いからだそうです。
また 柏の葉は新芽が育つまで古い葉が落ちないことから、子孫繁栄という縁起をかついだ木とされています。


つげ(柘植)


敷地の中で唯一の常緑樹です。
葉が層をなして密で、次々とついているので、つげという名が付いたようです。
成長が極めて遅く、硬くて粘り強く折れにくく木肌は緻密で均質で細工物に適合した木だそうです。代表例として櫛があります。